交通事故・後遺障害非該当・支払い拒絶→2300万円の高額賠償を獲得
概要
被害者 | 70代女性 |
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後遺症 | 左肩腱板断裂 |
後遺障害等級 | (相談前)非該当→(受任後)8級 |
受任前の提示額 | 支払い拒絶(既払い分280万円を除く。) |
獲得金額 | 2300万円(既払い分280万円を除く。) |
弁護士介入後の増加額 | 2300万円 |
解決手段 | 示談 |
相談時の状況
自転車乗車中、自動車と衝突し転倒。転倒時肩を強打し、激しい痛みと共に肩を動かすことができなくなってしまいました。
肩腱板断裂と診断され、2年半入通院を繰り返し、肩関節人工骨頭挿入術を含め数度の手術を経て症状固定と診断されました(肩の激しい痛みと腕が動かない状態は変わりませんでした。)。しかし、自賠責の後遺障害等級認定では、交通事故前から腱板断裂があったことは明らかとして、後遺障害非該当とされてしまいました。
保険会社からは、後遺障害非該当であり(これまでの治療費の立替分以上の)支払いはできないと言われたが納得できない、として相談に来られました。
受任後の流れ
担当医との面談、医療記録の精査、専門医による意見書作成等入念な準備を行い、自賠責への異議申立で14級を獲得後、さらに自賠責保険・共済紛争処理機構へ調停を申立て、8級を獲得しました。
本件では、過失割合、事故前から腱板断裂が存在したという既往症の問題、逸失利益の算定基準についての争いなど、他にも多くの争点があり、本来的には示談による解決は困難な事案でしたが、依頼者がご高齢ということもあり、紛争が長期化する訴訟はできるだけ避けたい、という事情がありました。
そこで、各争点につき証拠を踏まえ詳細な検討を行い、訴訟になった場合に想定されるリスクを十分に検討の上、保険会社にも十分な検討ができるだけの資料及び解説を添え、交渉に当たりました。
当初保険会社の対応は強硬なものでしたが、途中で担当者の変更があった後は(なお、転勤によるものではありませんでした。)、請求の法的評価をめぐる実質的な検討がなされ、2300万円を獲得することができました。
本件についてのご説明
依頼者の方は、事故後に生じ、固定化した痛みが「事故が原因ではない」と評価され、大変ショックを受けておられました。事故後に生じた肩の激しい痛みや、腕が全く使えなくなったことが「事故が原因ではない(正確には「自賠責保険における後遺障害には該当しない」)」と言われたのですから、納得できないのも当然です。
自賠責の非該当認定の理由を見た印象は「いかにも自賠責らしいなあ」というものでした。事故前から腱板断裂があり、事故で骨折したなどの画像所見はないから、事故で腱板断裂とその痛みが生じたとはいえない、という理由でした。
しかし、腱板断裂の場合には、断裂自体存在しても症状のない場合も多く(無症候性腱板断裂といいます。)、また、65歳以上の方の約半数に症状のない腱板断裂が生じている、という見解もあるほどで、腱板断裂それ自体は通常の老化現象ともいうことができます。
本件における問題の核心は、無症候性腱板断裂がどのようにして症候性断裂に転化したか、を主張立証できるか、ということでした。